人生の意味を問う、青春作品。このアニメは、一つの研究所VS宇宙艦隊というミクロなんだか、マクロなんだかが分からないロボットアニメで戦闘自体はもの凄く地味で、地球全体がこの事態を危機と感じている描写もほとんどない。
しかし、この作品の肝をそこになく、戦いに巻き込まれた女子高校生、過去から来た侍、目的がなくては生きていけない生命体、将来に悩む一般の高校生、地球を守りたい軍人の苦悩を一挙に描いている。SFとロボットの要素はあくまで不安感を示す要素でしかなく、この作品はあくまで人生の意味を問う作品に仕上がっている。
度々、普通の高校生らしい生活を送っているストーリーが挟まれるが、青春時代とはどんな時も不安と希望を感じるもので、しかしそれがなんて事のないものであるという楽天さを持っているものである。この作品はそこを上手く表していて、青春作品として十分な出来になっている。剣之介という過去から来た侍を登場人物としているのも巧みで時代が大きく違う中で、ある一つの目的を達成するのが人生の意味としていた侍が生きることは必ずしも意味を持つものではない、ただ生きることも悪いものではないという事に気付くというのは多くの人に刺さるものなのではないかと思う。
さすが、P.A.WORKSとだけあって人の気持ちの描き方と演出が上手い。SFとロボットを使ってこれだけの内容に仕上げられるのはすごいとしか言い様がない。