(ネタばれ)ふれあい交流会という身近で日常的なイベントを通して、主人公たちの抱えていたもの(このあたりあの花っぽいですが)が解消して成長していくさまを2時間で奇麗にまとめています。
田崎が言うように、こういうイベントって面倒で流したくなります。でも、成瀬の気持ち-心の言葉をミュージカルで歌で表現してみたい-そんな心の叫びに促され、坂上を中心に田崎の反対などを受けながらもクラスで次第に熱心に取り組んでいく姿は、皆で取り組むことの楽しさを再認させてくれました。
そして、その過程で田崎は自分の身勝手さに、坂上や仁頭は自分が言いたいことを抑えていて伝わっていないことに気づかされていきます。それぞれが、身近で共感できることでした。
成瀬が坂上の気持ち(自分に好意を向けてくれている王子様だと)を思い込んでいたことに気づき、逃げ出してしまいます。そのシーンは、周りのクラスメートのように「少しないわー」と思いました。ただ、成瀬が坂上と会ってから「すべて玉子のせいにしないと、困るの」と訴えるのを聞いて少しだけ理解もできました。
周りのクラスメートもいいやつらです。自分たちのできる範囲で協力してふれ交に取り組みますし、上記のように成瀬が逃げ出した後、不理解を示しつつも「成瀬がいてもいなくてもやることをやるだけ。そうしないと、成瀬が一番後悔するだろうし。まぁ、本音はこんなに頑張ってきたのに無駄にしたくないだけなんだけどね」という、暖かい姿勢には惹かれます。脇役もキャラ立ちしているところがこの作品の魅力でもあります。
成瀬と坂上が言葉は人を傷つけるためのものだけではないと確認しあうシーンは、会話の流れが筋載っていて上手いですし、坂上の優しさはすごいですね。「うん、知ってたよ」は作画も相まって泣きそうになりました。
ミュージカルも音楽が楽しいですし、成瀬が登場しその歌を聴いてお母さんが自分を振り返るシーンは心に来ました。最後の二つの歌詞をover the rainbowにのせて歌うシーンはラストにふさわしいですね。
まとめると、ストーリーが少し道徳的(人を傷つけた言葉はもう取り戻せないんだなど)かつ皆暖かい人達で、感動しました。その点が逆に少々非現実的にも感じもしましたが、そこでしまっちょの言葉を借りましょう。「ミュージカル(映画に)には奇跡はつきものだ」