*(注意)*
レビューというより、推測を通り過ぎ、
もう妄想の域に達しています(汗)。
ごく稀なことであるのだけれど、奇跡的な物語を作家が描くことがある。
その一本を持つことが出来ると、作家は作家としての使命を果たし、名前と共に作品は残って読み継がれてゆく。
――それらの作品の多くは、作家自身の体験や気付きについて書かれたものだ。原作者・末次 由紀さんは「ちはやふる」で
その「奇跡的な物語」魂を削って描くことが出来た。
最大の賛辞を送りたい。
彼女はトレース事件というものを過去に起こした。
小説などでいうところの盗作に近いことで、連載は打ち切り、
既刊の単行本は絶版とされた。
誰だって彼女の作家生命は尽きたと思ったことだろう。
しかし2年後、彼女は「ちはやふる」でファンの前に帰ってきた。
「ちはやふる」は、競技かるたのお話だ。
しかし、それだけではない。
「ちはやふる」で、競技かるたに情熱を燃やす主人公たちの姿は見る者の胸を打つ。
これは彼女の漫画への情熱の物語だからだ。
ちはやふるの人々が「かるた」への想いを語る時、
彼女は自身の漫画への想いを語らせる。
漫画が「好きで、好きで」ずっと描き続けてきた。
過ちを犯し、怖いけれど彼女は帰ってきた。仲間に励まされ、支えられて。逃げ出さず、自身の運命に立ち向かった。
情熱を取り戻してゆく"新"、手や足にタコを作り、泣きながら懸命に努力する作品の中の人々。
それらはすべて彼女と仲間なのでしょう。
「過去に犯した間違いというものがあり、自分はまだこういう場に出て行けるような人間ではない。一生懸命マンガを描いていくことでしか恩返しはできない」という授賞式での彼女のコメントは、
この物語が、彼女の贖罪と、漫画への情熱・愛の物語なのだと教えてくれます。是非、完結させて欲しいと思います。
1期アニメ制作スタッフはその世界を素晴らしく再現しています。
傑作です。