原作を読んだことある方は、この映画を見ない事をオススメします。原作の足元にも及ばない「つまらない」映画です。
タイトルを「アレン物語(〜ゲド戦記より〜)」とすればまだ良かったかもしれません。実際、映画ではゲドは脇役(やられ役?)で、アレンとテルーが主役の位置にいます。
そして「ゲド戦記」でもっとも重要である「影」の存在。
これをいかに表現するか!がテーマになるであろうはずなのに、この映画では曖昧な存在でしかありません。
監督の宮崎吾朗氏は「ゲド戦記」を作る事に父:宮崎駿氏の反対にあったが、「作りたい!」っという思いで最後は了承させたそうです。
宮崎駿氏は「ゲド戦記」を作品上、映画にする難しさを判っていた為反対したのでしょう。どう考えても「ゲド戦記」の壮大な世界観は120分で表現するのは不可能な作品なのです。
ジブリ作品の「耳をすませば」で主人公の女の子が泣きながら言っていたシーンがあります。
「書きたいだけではダメなんだ。もっと勉強しなくちゃ。」
この映画「ゲド戦記」はまさにその通りだと思います。意欲だけでは物造りはどうにもなりません。経験を積み、周囲に認められ、
「3部作で「ゲド戦記」を作りたい!」
っと言えるようになってから作って貰いたかった。失敗が判りきった状況でしか作れない作品にするのではなく…。
これを観ると、ジブリは次世代の監督候補がいない危機的状況にあるのだとわかります。
近藤喜文氏(「耳をすませば」監督)が亡くなられた事は、ジブリの未来図を大きく狂わせた気がしてなりません。